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2005/06/26

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐

ep3 欠落していた断片が埋まり、28年かけてやっとその全貌が姿を現した。今年一番の話題作であろう「6作中の3作目にして最終作」、ついに登場である。

物語はいきなりもの凄い艦隊戦で幕を開ける。このパートが本作で唯一気楽に楽しめる部分であろう。このあと物語は、アナキンの転落からジェダイ騎士団の崩壊へと、「暗黒」で塗りつぶされていくことになる。

「暗黒面への転落」とはどういうことだったのか。シリーズを通して「恐怖や怒りの感情が暗黒面につながる」と説明されてきた。この点を私はずっと「恐怖や怒りに駆られて、我知らずより強い暗黒面の力を使ってしまうこと」だと考えていた。そのため本作では「パルパティーンが分離主義者の仕業と欺いてパドメを殺し、これに怒ったアナキンが暗黒面の力を使って分離主義者を抹殺する」といった展開になると予想していたが、見事にはずれてしまった。

シスは「愛するものを失う事をおそれる気持ち」につけ込むのである。そして「愛するものを守るために今以上の力、暗黒面の力を手に入れたい」と思わせ、屈服させるのである。
本作で描かれた「暗黒面への転落」とは一時の衝動に駆られてのものではない。考えに考え、悩みに悩んだ末に、自らがシスの軍門に下るのである。「彼(パルパティーン)の力が必要なんだ」こう叫んだ瞬間、アナキンは自ら進んでシスとなったのだ。まさに「魂を売った」のである。

「人を愛したり、何かに執着してはいけない」この厳しいジェダイの戒律は何のためなのか。その答えがここにある。自分の大切なもの、「どんなことをしてでも守りたいもの」を持たないことだけが、シスの誘惑を退け「魂を売る」ことを防げるのである。シスと戦い続けてきたジェダイの、なんとも悲しい掟である。人の心のもっとも人らしい部分を狙うシスと渡り合うには、人らしい部分を捨てるしかなかったのだ。

クライマックスは、アナキンとオビ・ワンのセイバー戦だ。恩師クワイ=ガン・ジンから託され、実の弟のように愛した弟子をその手にかけなければならないオビ・ワン。どこかで歯車が狂ってしまった自らの運命への怒りを、オビ・ワンへの呪詛に塗り込めるアナキン。オビ・ワンの胸中を思うと胸が一杯になる。悲しくて見ていられない。

アナキンはオビ・ワンへの恨みを胸に炎の中に消え、灰の中から復活する。シスに屈してまで守りたかったパドメはもういない。彼はこのあと何を思って生きていくのだろう。

オビ・ワンはこのあと、成長したルークと再会するまでの20年間、後悔と自責の念を胸にひとりタトゥイーンで暮らすことになる。エピソード4でベイダーと戦った際、オビ・ワンはセイバーを納め、無抵抗でベイダーに切られた。オビ・ワンは再びアナキンに刃を向けることはできなかったのだろう。20年間毎日考えていたのであろうから、「アナキンをベイダーにしたのは自分だ」と。

今まではシリーズ中最もシンプルな「勧善懲悪もの」として楽しめたエピソード4。エピソード3を見た今となっては、もはや「勧善懲悪もの」としては楽しむことはできないだろう。

はたして本作は、単体の作品としてみた場合よい映画なのだろうか?今の私には客観的な評価は下せない。初めてシリーズを見る人にはたぶんおすすめできない映画だろう。でもこれだけは言える。シリーズのファンであるならば、なんとしても見るべきだ。全てが収まるところに収まり、今まで見てきたものが今までとは違って見える。28年間の重みは半端じゃないのだ。

ラストシーンはタトゥイーンの夕日。タトゥイーンの太陽がなぜ2つあるのか考えたことがあるだろうか?2つの太陽は2つの希望。いまは沈むところだけれど、やがて長い夜が終われば、日はまた昇るのである。

長い間、素晴らしい世界を与え続けてくれたジョージ・ルーカス監督に感謝したい。

May The Force Be With You, Mr.Lucas.

#022

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コメント

TBありがとうございました。

素敵な文章ですね。
示唆に富む言葉がいっぱい。

>オビ・ワンはこのあと、成長したルークと再会するまでの20年間、後悔と自責の念を胸にひとりタトゥイーンで暮らすことになる。エピソード4でベイダーと戦った際、オビ・ワンはセイバーを納め、無抵抗でベイダーに切られた。オビ・ワンは再びアナキンに刃を向けることはできなかたのだろう。

ここで胸がつまりました。
私も最初「4」を観たとき、なぜオビ・ワンが、ああもあっさり自ら負けたのか分かりませんでした。なるほど納得です。

>全てが収まるところに収まり、今まで見てきたものが今までとは違って見える。28年間の重みは半端じゃないのだ。

ほんとうに重いです。

投稿: えい | 2005/06/27 22:23

えいさん、コメントありがとうございます。

かなり混乱気味の文章ですが、読んでいただいてありがとうございました。
この映画を見て、自分の「スター・ウォーズの好きさ加減」が改めて判ったような気がしました。

投稿: starless | 2005/06/27 23:53

TBありがとうございました。
ベイダーが何を思って生きてきたのか…。
アナキンもオビ・ワンもつらいですね。
エピソード4が「新たなる希望」なのがよくわかりました。

投稿: rukkia | 2005/12/11 16:49

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