キングダム・オブ・ヘブン
リドリー・スコット監督の歴史超大作、というと「この間グラディエーター撮ったばかりじゃん」と誰でもが思うでしょう。私の感想としては「ドラマ性のグラディエーター、スケールのキングダム・オブ・ヘブン」といったところでしょうか。
父との再会を機に十字軍の騎士となった鍛冶屋のバリアンは「天の国」エルサレムに向かう。このときエルサレムを統治していたキリスト教徒の王は、イスラム教徒のリーダーであるサラディンと互いに尊敬の念を持っており、宗教の壁を超えて和平を結んでいた。両宗教の聖地であるエルサレムは、微妙なバランスの上で両教徒で共有されていたのである。しかしキリスト教徒の中の反イスラム勢力は、エルサレム王の死とともに実権を握りサラディンに宣戦布告、ついにキリスト教徒とイスラム教徒の全面戦争となるのである。
このような中でのバリアンの波瀾万丈の人生を描いた物語な訳ですが、正直ストーリー的にはそんなにおもしろみ、深みのあるものではありません。一人の男の復讐劇を描いた「グラディエーター」の方がドラマとしてはおもしろかったです。当時の対立を現在の対立に重ね合わせるところも、ありきたりといえばありきたり。
しかし本作が圧倒的に優れているのは、製作費1億5000万ドルをかけた映像のスケール感でしょう。本当に「見ているだけで感動する」ような映像なのです。平凡な物語でも圧倒的な映像で語られると退屈しているヒマなどありません。特に後半のエルサレム包囲戦は、ロード・オブ・ザ・リングの戦闘シーンを凌駕しているのではないでしょうか。地を埋める騎馬軍団、天を埋める矢と砲弾、ものすごい物量に見ている方が押しつぶされそうです。
撮影にはとんでもない苦労があったでしょうね。ぜひDVDでメイキングを見てみたいものです。
やっぱりリドリー・スコットはすごい。でも、製作費回収できるかな。
#018
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コメント
長い映画はトイレがツライので、DVDを待つクセがついてしまいました。(笑)
この映画も十字軍を扱った歴史大作ですから、DVDになったら必ず観ようと心に決めています。
そのときあらためてお話できると嬉しいですね。
投稿: つっきー | 2005/06/16 16:04
> この映画も十字軍を扱った歴史大作ですから、
???
十字軍がお好きなのですか?
十字軍もライフワークだったりして。
> そのときあらためてお話できると嬉しいですね。
こちらこそよろしくお願いします。
投稿: starless | 2005/06/16 21:31
「ダ・ヴィンチ・コード」を読んだせいもありまして、また「シカゴ発 映画の精神医学」の影響もありまして、最近とみに聖書、キリスト教への関心が強まりました。
十字軍といえば、ローマ・カトリックの命を受けて8回も遠征しています。
この映画で描かれているのは第3回十字軍遠征ですね。
十字軍もライフワークに入るのかしら・・・?(笑)
投稿: つっきー | 2005/06/20 12:09
「ダ・ヴィンチ・コード」については、つっきーさんのところでコメントさせていただきました。
確かにキリスト教は西欧社会の根底にあるものなので、それに絡めていろいろなものを見てみると、解釈に思わぬ広がりがでたりして、おもしろいですね。
投稿: starless | 2005/06/21 00:25