スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
現在進行中の新3部作の第2話。エピソード1からは10年後という設定で、青年となったアナキン・スカイウォーカーとパドメ・アミダラの恋愛を主軸に、銀河系を揺るがす「クローン大戦」の開戦までが描かれています。
公開前から「エピソード2は恋愛映画だ」といわれていましたが、本作の最重要テーマはアナキンとパドメの恋愛であることは間違いありません。ですが、私の見るところ本作ではこの点が上手く描かれていたとは思えませんでした。
エピソード1からエピソード2の間の10年間、映画では描かれていませんがアナキンはジェダイの修行をしていたものと思われます。つらい10年間の修行の間、アナキンの心の支えとなっていたのは、少年の頃出会ったパドメの存在であり、いつしかそれはパドメへの恋愛感情となっていた。アナキンの胸中は多分このようなものだと思われますし、それはそれで自然な気持ちの流れだと思うのですが、なにぶん映画で描かれているわけではないので、観客には伝わってこないのですよ。
エピソード1ではあどけない少年だったアナキンが、エピソード2の冒頭でいきなり大人になって出てきて、「パドメ、オレも立派な大人になったろう。ずっと好きだったんだ」といったアピール度満点の態度ででてくるのもですから、観客はアナキンの気持ちについていけないのです。「いきなり出てきて、パドメにつきまとって。あんたストーカーかい?」なんとなく冷めた気持ちになってしまうのです。
もうひとつ、「ジェダイの掟」についての問題もあります。ジェダイにおいて「恋愛」が御法度であることは、映画の中で繰り返し語られます。また御法度であるが故に、2人の愛は「禁断の愛」であり、より映画が盛り上がる訳なのですが、アナキンの様子を見ていると、とても「禁断の行為」には見えないのですよ。なにしろいきなり恋愛モードで登場してますから。オビ=ワンがいくら真剣に「掟」を説いても、アナキンがあれじゃ説得力ないんですよね。アナキンのこの「戒律を重視しない性格」を、後の「暗黒面に落ちるアナキン」の布石として描いているというならしかたありませんが、恋愛映画としてみると設定が生かされているとは思えません。
アナキンの心情にもついていけず、禁断の恋愛にも思えず、なんとなく観客の気持ちが盛り上がらないのですよね。恋愛映画としては失敗作でしょう。
たとえば冒頭の2人の再会の場面ではもうすこし2人の距離をとり、その後パドメの危機を2人で乗り越える過程で2人の気持ちが近づき、ジオノーシスの闘技場あたりでお互いの気持ちを確かめ合う等、もう少し2人の気持ちの流れをゆっくりにして、観客についてこさせるような配慮があってもよかったのではないでしょうか?
そんなエピソード2ですが、古くからのファンには見所もあります。
まずジェダイが数十人規模で集団で戦闘するシーンが見られます。そしてヨーダが軍隊を率いて司令官として戦う姿がみられます。率いている軍隊がクローン・トゥルーパー(のちのストーム・トゥルーパー)であることから、絵的にもとてもインパクトがあります。さらに極めつけはヨーダがライト・セイバーで戦うシーンが見られます。
「ドラマ」としては失敗だけど、ファンが楽しめる戦闘シーンは一杯ある。楽しめるのか楽しめないのか説明が難しい映画です。
エピソード3も重厚な「人間ドラマ」になると思われます。大丈夫かなぁ。
#014
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