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2005/05/14

グイン・サーガ外伝18 消えた女官/栗本 薫

kieta 先日、遂に100巻目が刊行された「グイン・サーガ」の外伝。

本編のサーガで語られなかったエピソードが取り上げられるこの「外伝」シリーズは、時系列的にもまったく規則性がなく、本編より過去であったり、場合によっては本編より未来であったり(!)するのですが、今回の「消えた女官」は本編の主要キャラクターであるアルド・ナリスの少年時代を描いたものです。

「アルド・ナリス王子の事件簿1」とサブ・タイトルがついていることからもわかるように、今回は「推理小説仕立て」となっています。栗本薫は素晴らしい推理小説家であるので、どのようになるのか楽しみにしていたのですが、思いのほか「ふつうのグインサーガ風」でした。たしかに作者本人もあとがきで述べていますが、「魔道(いわゆる魔法)」の存在する世界なので、いかにも推理小説的なトリックを扱うのは難しいのでしょうね。タイトルに「1」とあるからには、「2」以降もあるのでしょうから今後に期待したいです。

本作は超大なシリーズの一部分なのですが、外伝という性質から、一応この本だけでも一冊の小説として楽しめるようになっています。でも当然シリーズを読んでいるかどうかで、楽しめる度合いは大きく変わってきます。

本作のアルド・ナリスは15歳の少年で、自分の将来に対する夢や畏れ、野望等を当然のことながら持って生きているのですが、読んでいる私はもう彼の行く末を知っているのです。彼の夢や野望が果たされないことがわかっているのに、その彼が夢や野望を語るのを読むのは、なんとも悲しいことです。この悲しさ、せつなさは当然シリーズを読んでない人には全く感じられないことなんですよね、文章で書いてある訳じゃないですから。シリーズの読者が、自分が読んできたナリスの過去と未来を思い起こすことで、文章からではなく自分の内部でそのような感情を呼び起こしてしまうのです。

同じ本を読んでいるのに、読者の経験値次第で感じ方が変わるなんて、なんかおもしろいですよね。

こういうことがあるから、わたしは映画や小説の「シリーズ物」が好きなのかもしれませんね。

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